ドライバーレポート【3】


平成28年2月某日

 本日の集合場所は、池袋。
土曜日の午後は、観光地から都心への回帰ラッシュが凄まじく、うっかりすると集合時間に
間に合わなくなってしまうので、余裕を持って早めに出る。
集合時間には、誰ひとり遅れることなく、予定通りに出発できた。

 宴会場所は、宇都宮駅前である。
過去に親しくお付き合いさせて頂いた先輩が、隣のさくら市(その当時の氏家町)にいた。
「いた」と過去形で言うのは、その方が数年前に他界されたからである。
当時私のいた業界で、多方面にわたるご指導を頂いた、かけがえのない方であったが、
引退されて間もなく、心疾患で倒れられた。宇都宮はその意味で、想い出深い土地なのだ。

 コンパニオンを定刻に宴会場へ運び入れ、半分ほどになっているガソリンタンクを満タンにしておこうとガソリンスタンドを探しに出かけたが、行けども行けどもそれがない。
宇都宮駅周辺は大きな繁華街で、ないものはないほどに賑わっている場所なのに、ガソリンスタンドがないのだ。
 通常考えると、駅周辺は地価が高く、スタンドの立地として不都合ということもあるのかも知れない。あるいは駅周辺にはその需要が極端に少なく、収益が見込めないのかも知れない。しかし、走っているクルマの数は決して少なくないし、駅周辺にはたくさんの有料駐車場がある。なぜガソリンスタンドがないのだろう。
ようやく見つけたのは、先ほど高速道路を降りた場所にほど近い幹線道路沿いであった。

 今夜のお客様はリピーターさんで、既に2回ほど当社をご利用頂いている。
この不景気の時代に、有難~いお客様である。が、コンパニオンリーダーが終了報告の電話をかけてきたのは、宴会開始から2時間とちょっとを過ぎたばかりのことであった。
コンパニオン達にとっては、延長しにくいお客様であったらしく、口々に不満をもらす。
お客様の種類も様々だから、そんなことも時々はあるものである。

 
   店舗外観  店でもらった携帯ストラップ

 コンパニオンの一人が、
「お腹空いた~。餃子食べた~い」と騒ぎ始めた。
かねてから宇都宮へ行ったら、おいしい餃子を食べるのが目標だったのだという。
舌の肥えた子で、味には普段からうるさい。
美味しくない外食より、自分で作る餃子の方が絶対に美味しいと呟く。

 他のコンパニオン達も空腹であったらしく、反対する者が一人もいない。
そうなれば、食わずに帰るという選択肢は、なしである。
駅の近くの路地にある専門店「健太」に入った。狭い店内は満席であったが、ほどなくテーブルを空けてくれる客があり、私たち5人は一緒の卓を囲むことができた。
よくしゃべる明るい店主が注文を取る。看板オヤジであるらしい。

 テーブルに接した壁には、これまで訪れた芸能人の写真や色紙が、所狭しと並べて貼りまくってある。それほど有名な店であったのだろう。
食べたのは餃子のみであったが、味は絶品で、全員が満足することができた。
「おいしい宇都宮餃子」が、今宵の収穫であった。

                          綾小路 誠

 

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